ブルーノートはジャズの代名詞となっているが、ジャンルの代名詞となっているレコード・レーベルはほとんどないといっていいだろう。同レーベルの有名なクオリティの管理により、1950 年代と1960 年代には、将来の名作となる名盤を大量に生み出し、素晴らしいカタログが完成した。しかし、ブルーノートが今日でも依然として存在感があり、真の革新の原動力であり続けていることを忘れてはならない。専門家、ライター、ミュージシャン、アーティスト、業界関係者の協力によって完成した、ブルーノートの名盤アルバムのリストを紹介しよう。
85.
ニューヨーク・イズ・ナウ!
オーネット・コールマン
1968年
ジャズ界の革命児オーネットが、フリー・ジャズ・プレイヤーとして成熟を見せたブルーノート最後のスタジオ・セッション。
84.
ノット・タイト
ドミ& JD・ベック
2022年
Z世代2人の天才による超複雑でタイトなジャズ・フュージョン。
83.
タイム・ウェイツ
バド・パウエル
1986年
ヴォーモダン・ジャズ・ピアノの祖バド・パウエルのブルーノート第4弾。サム・ジョーンズ、フィリー・ジョー・ジョーンズを加えたトリオ作品。
82.
チュニジアの夜
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
1961年
ハード・バップ・フィニッシング・スクールによるの最高のラインナップの1960年作品。
81.
ヘヴィ・ソウル
アイク・ケベック
1962年
テナー・サックス奏者のアイク・ケベックによる、温かみ、スイング感のあるソウル・ジャズ・セッション。
80.
コーンブレッド
リー・モーガン
1967年
『ザ・サイドワインダー』での大成功と並ぶジャズ・ロック路線の金字塔となった大ヒット作。
79.
The 7th Hand
イマニュエル・ウィルキンス
2022年
素晴らしいカルテットによる、力強く印象的な21世紀のモダン・ジャズ。
78.
エンピリアン・アイルズ
ハービー・ハンコック
1964年
この稀有なピアニストの芸術性の全容を披露した初期の作品。
77.
ブラック・ファイア
アンドリュー・ヒル
1965年
異色のピアニストによるポスト・バップ・ジャズの傑作。
76.
ア・ニュー・パースペクティヴ
ドナルド・バード
1964年
コーラスをフィーチャーした、高揚感があり、心の底からの感動を呼び起こすアルバム。
75.
バック・アット・ザ・チキン・シャック
ジミー・スミス
1960年
ハモンド B-3 の革新者によるソウルフルなクラシック。
74.
マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1 & Vol.2
マイルス・デイヴィス
1956年
言わずと知れたレジェンド。燃えるようなビ・バップから美しいバラードまで。
73.
ミッドナイト・クリーパー
ルー・ドナルドソン
1968年
メガ・ヒット作『アリゲイター・ブーガルー』の翌年に録音された、同じくダンサブルな快作。
72.
Dialogue
ボビー・ハッチャーソン
1965年
伝説的なヴィブラフォン奏者の最も冒険的で大胆なアルバム。
71.
オムニコード・リアル・ブック
ミシェル・ンデゲオチェロ
2023年
黒人アメリカン・ミュージックの歴史を想起させる先見的なアルバム。
70.
フューシャ・スイング・ソング
サム・リヴァース
1965年
マイルス・デイヴィス・バンドで活動歴がある異形のテナーマン、サム・リヴァースの初リーダー作。
69.
ライフ・タイム
トニー・ウィリアムス
1965年
マイルス・デイヴィス・グループへの参加で名を馳せたトニー・ウィリアムスが弱冠18歳で記録した驚くべき初リーダー作。
68.
ブルー・アワー
スタンリー・タレンタイン・ウィズ・ザ・スリー・サウンズ
1961年
深くソウルフルでスウィングするハード・バップ作品。
67.
Evolution
グレイシャン・モンカー III世
1963年
ポスト・バップ時代のダークで魅力的なアヴァンギャルド・ジャズ。
66.
レット・エム・ロール
ビッグ・ジョン・パットン
1966年
ジミー・スミス~ベイビー・フェイス・ウィレットに続く、ブルーノート第3のオルガン奏者ジョン・パットンが、グラント・グリーン~ボビー・ハッチャーソンと共演したソウル・ジャズの人気盤。
65.
ホイッスル・ストップ
ケニー・ドーハム
1961年
黄金時代だった1960年代からのクラシックなハード・バップ。
64.
スピーク・ライク・ア・チャイルド
ハービー・ハンコック
1968年
名盤『処女航海』から3年。現代ジャズの巨匠の卓越したセンスが生み出したさらなる傑作。
63.
ユニティ
ラリー・ヤング
1966年
コルトレーンに影響を受けた孤高のオルガニスト、ラリー・ヤングが残した異色の傑作。
62.
デモンズ・ダンス
ジャッキー・マクリーン
1967年
レギュラー・クインテットで臨んだマクリーンのブルーノート最終作。
61.
ジュジュ
ウェイン・ショーター
1964年
キャリア初期を彩る1964年のブルーノート3部作中、唯一のワン・ホーン・アルバム。
60.
エチオピアン・ナイツ
ドナルド・バード
1971年
ハード・バップの異端者からフュージョンの先駆者へと進化したトランペット奏者の1971年録音作。
59.
モザイク
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
1961年
3管ジャズ・メッセンジャーズ正式発足後の記念すべき初録音。各メンバーによるオリジナルは名曲揃い。
58.
ミルト・ジャクソン
ミルト・ジャクソン
1948/1952年
1952年に行われたミルト・ジャクソンのブルーノート唯一のリーダー・セッションと、48年と51年に参加したセロニアス・モンクのセッションからの12曲。
57.
抱きしめたい
グラント・グリーン
1965年
ザ・ビートルズが初の全米1位を獲得したタイトル曲や、ボサノヴァの大スタンダード「コルコヴァード」を収録した人気盤。
56.
オープン・セサミ
フレディ・ハバード
1960年
伝説のトランペット奏者によるデビュー・アルバムにして快作。
55.
Indestructible
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
1964/1966年
ウェイン・ショーター、レジ・ワークマン、シダー・ウォルトンにとっての最後のメッセンジャーズ・セッション。
54.
ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ
ホレス・シルヴァー
1959年
ハード・バップ界の巨人による時代を超えたオリジナル曲を収録した1959年の傑作。
53.
ザ・レイヤーズ
ジュリアン・ラージ
2023年
現代最高峰ギタリストによる最高傑作のひとつ。ビル・フリゼールもゲスト参加している。
52.
ソニー・クラーク・トリオ
ソニー・クラーク・トリオ
1957年
ブルーノート史上最強のリズム・セクション(ソニー・クラーク~ポール・チェンバース~フィリー・ジョー・ジョーンズ)が残した傑作ピアノ・トリオ・アルバム。
51.
バスラ
ピート・ラロカ
1965年
ダークで革新的、そして先進的なアヴァンギャルド・ジャズの最高峰。
50.
テックス・ブック・テナー
ブッカー・アーヴィン
1968年
バンドリーダー、そして作曲家として渋い存在感を放ったサックス奏者が遺した名盤。
49.
ハウ・インセンティヴ
デューク・ピアソン
1969年
豪華で重層的なアレンジが印象的なデューク・ピアソン後期のアルバム。
48.
ブルー・スピリッツ
フレディ・ハバード
1965年
ブルーノートに残した驚異的なレコーディング・シリーズの最後の作品。
47.
インナー・アージ
ジョー・ヘンダーソン
1966年
芸術的な才能を発揮するテナーサックス奏者兼作曲家による、ブルーノート4作目にして初のワン・ホーン・リーダー作。
46.
メモリアル・アルバム
クリフォード・ブラウン
1953年
比類なきトランペット奏者が遺した永遠の名盤。美しい音色に酔いしれる。
45.
The Sky Will Still Be Here Tomorrow
チャールズ・ロイド
2024年
いまだ絶頂期にあるヴェテラン・サックス奏者の最新作。豪華トリオを率いて円熟の境地を見せる。
44.
ヴィレッジ・ヴァンガードの夜
ソニー・ロリンズ
1958年
絶頂期のジャズ界最高のテナー・サックス奏者の一人による、魅惑的なライヴ録音。
43.
デスティネーション・アウト!
ジャッキー・マクリーン
1963年
1960 年代初期のジャズ探求の鮮明な記録。
42.
テイキン・オフ
ハービー・ハンコック
1962年
巨匠ハービー・ハンコックの記念すべきデビュー・アルバム。「ウォーターメロン・マン」収録。
41.
ニュークス・タイム
ソニー・ロリンズ
1959年
ブルーノート4000番シリーズの始まりとなった素晴らしいハード・バップ作品。
40.
The Phantom
デューク・ピアソン
1963年
ピアニスト兼作曲家のカタログからの過小評価された逸品。
39.
Two-Headed Freap
ロニー・フォスター
1972年
サンプリングネタとしても有名となった、ファンキーなジャズ・フュージョンのマスターピース。
38.
One Flight Up
デクスター・ゴードン
1964年
ゴードンがヨーロッパ在住時にパリで録音し、本人も名作と認めたアルバム。
37.
ブルース・ウォーク
ルー・ドナルドソン
1958年
人気アルト奏者ルー・ドナルドソンが、ソウル&ファンキー路線へのアプローチを打ち出した記念碑的作品。
36.
モード・フォー・ジョー
ジョー・ヘンダーソン
1965年
活気と生命力に溢れた新主流派トップ・スター、ジョー・ヘンダーソンのブルーノート(旧)最終作。
35.
マグニフィセント・サド・ジョーンズ
サド・ジョーンズ
1956年
当時のカウント・ベイシー楽団を代表する耽美派トランペッターの唯一無二の個性が味わえる名盤。
34.
Into Somethin’
ラリー・ヤング
1965年
ハモンド B-3をポスト・バップ文脈で解釈した名オルガニストによる名盤のひとつ。豪華共演陣のプレイも光る。
33.
Expansions
マッコイ・タイナー
1968年
マッコイがモーダルからスピリチュアル・ジャズの領域へ進出した一枚。
32.
ブラックス・アンド・ブルース
ボビー・ハンフリー
1973年
楽しさに溢れたジャズ・ファンクの古典。
31.
アイドル・モーメンツ
グラント・グリーン
1965年
ソウルフルなプレイで人気を集めていたグラント・グリーンが、新主流派のボビー・ハッチャーソンやジョー・ヘンダーソンと組んだ意欲作。
30.
ノラ・ジョーンズ
ノラ・ジョーンズ
2002年
グラミー賞を総なめにし、その後の音楽シーンにも多大な影響を与えた衝撃のデビュー作品。
29.
トゥルー・ブルー
ティナ・ブルックス
1960年
フレディ・ハバードの名作『オープン・セサミ』の好演で知られるテナー奏者ティナ・ブルックスの貴重なリーダー作。
28.
ハプニングス
ボビー・ハッチャーソン
1969年
名ヴィブラフォン奏者による最も冒険的なレコーディングのひとつ。
27.
Shades Of Blue
マッドリブ
2003年
ヒップホップの視点からジャズの名曲を再解釈した、記念碑的な作品。
26.
ホエア・イズ・ブルックリン?
ドン・チェリー
1966年
コルトレーン・バンド在籍のファラオ・サンダースを加えたカルテット編成。艶やかなトランペットとフリーキーなサックスのコントラストが素晴らしい。
25.
Ten
ジェイソン・モラン
1963年
モダン・ジャズ界で最も重要なピアニスト、ジェイソン・モランが率いるトリオの名作。
24.
ザ・リアル・マッコイ
マッコイ・タイナー
1962年
バンド・リーダーとしてのタイナーが遺した最高傑作。
23.
ミッドナイトブルー
ケニー・バレル
1963年
最高のギタリストによる、都会的で洗練された真夜中のジャズ。
22.
サンフランシスコ
ボビー・ハッチャーソン
1962年
強烈なグルーヴが溢れる、初期のフュージョンとも呼べる作品。
21.
クール・ストラッティン
ソニー・クラーク
1958年
時代を超えて愛されるハード・バップの名盤。
20.
ブラック・レディオ
ロバート・グラスパー
2012年
ジャズ、ヒップホップ、ソウル・ミュージックにまたがるクリエイティブ音楽の新たなパラダイムを打ち立てた重要作。
19.
ナイト・ドリーマー
ウェイン・ショーター
1964年
新主流派のトップ・ランナー、ウェイン・ショーターが、1964年にブルーノートに残した偉大なる3傑作の最初を飾るアルバム。
18.
ソウル・ステーション
ハンク・モブレー
1960年
モブレーのリリカルなプレイが存分に楽しめる名盤。
17.
ユニット・ストラクチャーズ
セシル・テイラー
1966年
1960年代半ばのジャズ/アヴァンギャルドの頂点を、畏敬の念を抱かせるパフォーマンスで表現。
16.
レット・フリーダム・リング
ジャッキー・マクリーン
1962年
ハード・バップのブルージーな言語とザ・ニュー・シングの活発なエネルギーの融合。
15.
ポイント・オブ・デパーチャー
アンドリュー・ヒル
1963年
ポスト・バップ・ジャズの未来を数十年にわたって見据えた傑作アルバム。
14.
ザ・チャンプ
ジミー・スミス
1956年
オルガンという楽器の演奏方法を変えてしまった、オルガン奏者のデビュー作。
13.
サイドワインダー
リー・モーガン
1963年
ザ・ビートルズ米上陸の年にヒット・チャートを駆け上った、ジャズ・ロックの金字塔。
12.
ゴー
デクスター・ゴードン
1962年
ハードなスイング・ナンバーでゴードンの無限の創造性を披露。
11.
プレイシズ & スペイシズ
ドナルド・バード
1975年
伝説のトランペット奏者の活気に満ちたブルーノート時代後期の集大成。
10.
ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン
オーネット・コールマン
1966年
引退状態だったフリー・ジャズの提唱者オーネット・コールマンが復活して敢行した欧州ツアーの実況録音盤。各国で音楽賞に輝いた傑作。
9.
アメイジング・バド・パウエル Vol. 1
バド・パウエル
1952年
ビバップ・ピアノの天才バド・パウエルがブルーノートに収めた最高の録音。
8.
モーニン
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
1959年
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの代表作というばかりでなく、モダン・ジャズを代表する1958年の名盤。
7.
アウト・トゥ・ランチ
エリック・ドルフィー
1964年
驚くべき独創性を持つ天才アーティストが他界する4か月前に残した、ジャズ史上に君臨する異色の傑作。
6.
ソング・フォー・マイ・ファザー
ホレス・シルヴァー
1964年
ホレス・シルヴァーのカタログに残る不朽の逸品。
5.
サムシン・エルス
キャノンボール・アダレイ
1959年
アダレイがブルーノートでリリースした唯一のアルバム。マイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加。
4.
ジニアス・オブ・モダン・ミュージック, Vol. 1&2
セロニアス・モンク
1951/1952年
時代を超えた名曲の数々を収録した、初期ビ・バップの重要な作品。
3.
処女航海
ハービー・ハンコック
1965年
偉大なピアニストのキャリアにおける傑出した業績の一つ。
2.
スピーク・ノー・イーヴル
ウェイン・ショーター
1966年
ショーターのオリジナル6曲を収録した超絶的な傑作。
1.
ブルートレイン
ジョン・コルトレーン
1957年
コルトレーンが遺した唯一のブルーノート作品にして、すべてのジャズ・ファン必携の1枚。