キース・ジャレットの『ケルン・コンサート』を生み出したヨーロッパを代表する名門レコード・レーベル、ECMレコードの創立55周年を記念したドキュメンタリー映画『ECM レコード―サウンズ&サイレンス』の公開が明日よりスタートする。

「映像もECMのジャケットのようだった。マンフレッドアイヒャーと演奏に立ち会うようで息をのみ緊張した」

「ECMそのものの音と映像、感動しました」

「極上のサウンドスケープ、様々なECMサウンドが聴けてよかった」

「音楽とは、人生とは、を考えさせられた」

「音楽ドキュメンタリーで涙したのは初めてです」

「初めて自分の呼吸をうるさいと思った」

「どれほどの技術や情熱が注がれているか、制作に係る人たちすべての力が結集しているかが感じられた。音楽はまさに作られているその場でこそ一番の魅力があると思いました」

先だって行われた先行上映会では上記のように様々なコメントが寄せられている。

この映画はペーター・グイヤー+ノルベルト・ヴィドメールの共同監督による2009年スイス製作のドキュメンタリー映画で、ドイツの ECM レコード創立者であり、現代音楽を代表する名プロデューサー“マンフレート・アイヒャー”が世界のさまざまな場所で音楽を作り出すその瞬間を、彼と共に巡っていくというもので、音楽に情熱の全てを捧げた男=マンフレート・アイヒャーを追ったロード・ムービーとなっている。レコーディング・スタジオ、コンサート会場、舞台裏や街の片隅。そこで出会う、音楽家、作曲家、さまざまな人々。そして、それぞれの物語、それぞれの街と景色、ぶつかり合いと抱擁、静寂と喧騒、失望と喜び・・・。

観る者は、世界を旅しながらマンフレート・アイヒャーと共に彼の周りで起こる様々な出来事を体験し、

ジャズのみならず、クラシック、トラッド、アンビエント、ワールド・ミュージック・・・などさまざまな音楽が生まれる現場を垣間見ることができる作品だ。

ECMレコードは「Edition of Contemporary Music」の略で、1969年にマンフレート・アイヒャーがドイツのミュンヘンに創立したレコード・レーベル。アイヒャーはクラシック音楽とジャズの演奏家として活動した後、20代半ばでECMを立ち上げた。創立時のコンセプトは“静寂の次に美しい音楽”。他のレーベルとは一線を画し、その透明感のあるサウンド、澄んだ音質、洗練された美しいジャケット・デザインなどが世界の多くの音楽ファン、アート・ファンを魅了しており、キース・ジャレット『ザ・ケルン・コンサート』(75年)やチック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(72年)、パット・メセニー『ブライト・サイズ・ライフ』など数多くのジャズの名盤を輩出していることで知られるが、ジャズのみならず、アンビエント・ミュージック、ワールド・ミュージック、トラッドなど幅広い音楽に貢献してきた。さらに、1984年には現代音楽に焦点を当てたレーベル「ECM New Series」も創設。アルヴォ・ペルト、ギドン・クレーメル、ハインツ・ホリガーらが新作を発表するなどジャンルを広げ、クラシック界にも進出した。

今年はECM創立55周年に加え、ECM New Seriesも創設40周年を迎えた記念すべき年で、その歴史を耳で体感できるジャズのカタログ・シリーズ「ECM 55 Revisits」が春に、そしてクラシックのカタログ・シリーズ「ECM New Series名盤40」が今週発売となった。ECM New Seriesの記念すべき最初のアルバム『タブラ・ラサ』をリリースしたアルヴォ・ぺルトは、映画でも感動的なシーンで登場する。

現在のこの映画は全国21館で上映中、そしてECMアーティストの来日も11月には多く予定されている。
ぜひこの機会に、様々な形でECMの世界に触れてみてはいかがだろう。

    


■映画情報
『ECM レコード―サウンズ&サイレンス』
2024年10月18日(金)より
https://www.universal-music.co.jp/sounds-and-silence/ 

■上映館
ECMレコード サウンズ&サイレンス 劇場情報 (eigakan.org)