シロフォン(木琴)の親戚とも言えるヴィブラフォンは、共鳴管の上に置かれた調律された金属棒で構成されるメロディックな打楽器である。この楽器の特徴は、演奏者がビブラート効果を生み出すことができるモーター駆動のファンを使用していることである。

1920年代にライオネル・ハンプトンやレッド・ノーヴォといったミュージシャンによってジャズに取り入れられて以来、スウィングからビバップ、クールからアヴァンギャルドまで、様々なジャズ・レコーディングで魅惑的なサウンドを奏でてきた。ハンプトンはかつて、この楽器を「最も深い感情を表現できる楽器」と語り、さらに「まるで歌声のようだ」とその魅力を表現している。

レッド・ノーヴォ。
ライオネル・ハンプトン。Photos: William P. Gottlieb/Ira and Leonore S. Gershwin Fund Collection, Music Division, Library of Congress.

音の彩りを添える役割から、美しく緻密なハーモニーのソロで主役を務めるまで、ヴィブラフォンは驚くほど多才な楽器だ。もう一人の巨匠、ゲイリー・バートンはかつて、「ヴィブラフォンの独特な音色と響きは、複雑なハーモニーやテクスチャーを探求するのに理想的だ」と語っている。 次のアルバムは、まさにその魅力を体現した作品と言える。

ミルト・ジャクソンのアルバム『ミルト・ジャクソン』は、一種のコンピレーション的な作品であり、ビバップ時代の名盤のひとつだ。1956年にリリースされた本作は、1948年と1951年に録音されたセッションの音源がまとめられている。原題にはセロニアス・モンクの名が冠されているが、実際に彼が参加しているのは数曲のみだ。ピアノのジョン・ルイス、ベースのパーシー・ヒース、ドラムのケニー・クラークに加え、サックスのルー・ドナルドソンが演奏する楽曲が中心となっている。この4人は後に有名なモダン・ジャズ・カルテットとして活躍し、ミルト・ジャクソンの叙情的なヴィブラフォンの音色を世に知らしめることとなる。アルバムの冒頭を飾る「タヒチ」では、ジャクソンのヴィブラフォンとドナルドソンのサックスが美しく絡み合い、流麗なアンサンブルを生み出している。また「バグス・グルーヴ」は後にジャクソンの代名詞ともなる代表曲であり、その温かみのある音色が楽曲全体を包み込むように響き渡る。

『スティック・アップ!』は、ヴィブラフォンの名手ボビー・ハッチャーソンがブルーノートに残した5作目のセッションであり、レーベルは本作を「ビ・バップの広大な領域をカバーする作品」と評した。1966年に録音されたものの、リリースは1968年まで待たなければならなかった。しかし、その間に培われた独自のスタイルと表現力が、本作をモダン・ジャズ・ヴィブラフォンの決定的名盤へと押し上げた。オーネット・コールマン作の「ウナ・ムイ・ボニータ」では、ハッチャーソンの透明感あるサウンドが、マッコイ・タイナーのピアノ、ジョー・ヘンダーソンのサックスとスリリングに交錯し、鮮烈なインタープレイを生み出す。一方で「サマー・ナイツ」での物憂げで情感豊かな演奏を聴かせ、ハッチャーソンはヴィブラフォンの持つ驚くべき表現の幅を存分に発揮させている。

『オブリーク』は1967年に録音されながらも、広く知られるようになったのは1980年に入ってからだった。このアルバムは、ホーンを排したカルテット編成による、深く心に響くジャズの好例と言える。ハッチャーソンの洗練されたハーモニー豊かなヴィブラフォンに、ハービー・ハンコックのピアノが巧みに寄り添い、当時23歳のアルバート・スティンソンが躍動感あふれるベースラインを奏でる。さらに、ジョー・チェンバースのドラムがグルーヴを支え、彼自身が手がけた2曲のオリジナルも収録されている。また、ハンコック作「欲望のテーマ」では、映画音楽としての枠を超えたダイナミックな解釈が光る。緻密なアンサンブルが際立つこのアルバムは、ボビー・ハッチャーソンの伝説的な地位をさらに確固たるものにした。

『オデッセイ・オブ・イスカ』は、サックス奏者ウェイン・ショーターの中ではあまり知られていない作品かもしれないが、極めて実験的で魅力的なアルバムだ。ヴィブラフォン奏者のデヴィッド・フリードマンは、ヴィブラフォンとその親戚であるマリンバを駆使し、主役を務めるのではなく、楽曲に彩りと情感を加える役割を果たしている。もちろん、ショーターのサックスが中心ではあるが、本作の探求的な雰囲気は、独特な楽器編成によって生み出されている。 ピアノを排したこのアルバムでは、ショーターの演奏にギター、ベース、そして幾重にも重なるパーカッションが融合し、濃密な音の世界を構築している。その中で、フリードマンのヴィブラフォンは時に主旋律に対する対位法的な響きを奏で、また時には鐘のような澄んだ音色で繊細な装飾を加える。このリストに挙げた他のヴィブラフォン・アルバムとは趣が異なるが『オデッセイ・オブ・イスカ』は、アンサンブルの一員としてのヴィブラフォンの可能性を見事に示した作品である。

ジョエル・ロスは、モダン・ジャズの先駆者たちへの敬意を忘れずに、未来を見据えた演奏を続ける現代ジャズ界のヴィブラフォン奏者の旗手だ。本作で通算4作目となるアルバムでも、サックス奏者であり若手ジャズ・シーンのスター、イマニュエル・ウィルキンスと再び共演し、スリリングなインタープレイを繰り広げている。アルバムにはロスのオリジナル7曲に加え、セロニアス・モンクの「Evidence」、さらにはジョン・コルトレーンの名曲「Central Park West」と「Equinox」のカバーが収録されている。タイトル曲では、作曲家としての才能とプレイヤーとしての表現力が見事に発揮され、ヴィブラフォンの響きが広がりのある旋律として際立つ。また「nublues」では、ロスが過去の巨匠たちに匹敵する革新的なプレイを聴かせ、ヴィブラフォンという楽器の未来を切り拓く存在であることを証明している。


アンドリュー・テイラー・ドーソンはエセックスを拠点とするライター兼マーケッター。彼の音楽ライティングは、UK Jazz News、The Quietus、Songlinesで紹介されている。音楽以外では、The Ecologist、Byline Timesなどに寄稿。


ヘッダー画像: ジョエル・ロス。Photo: Lauren Desberg / Blue Note Records.