現代テナー・サックス界の最高峰、ジョー・ロヴァーノがポーランドの人気トリオ、マルチン・ボシレフスキ・トリオと共演した『オマージュ』が5月2日にリリースされることが決定した。

本作は、ECMでの2作目となる共同制作作品で、とりわけ冒険的な精神を発揮している。前作『Arctic Riff』(2020年)で聴かせた叙情的な強さを土台に、『オマージュ』では、ロヴァーノが自身のトリオ・タペストリーや他の場所で展開してきた、自由で流れるようなインタープレイや広がりのあるインプロヴィゼーションを追求している。このアルバムは、2023年晩秋のヴィレッジ・ヴァンガードでのレジデンスの最中にスタジオ・セッションで録音されたもので、流麗な構成がそのまま展開されている。稀有な表現力と精神的な親和性がこのセッションを彩っている。

Golden Horn ― Joe Lovano+Marcin Wasilewski Trio

それぞれ10分を超える長編曲2曲とタイトル曲「オマージュ」は、すべてロヴァーノのオリジナルで、アルバムの根幹を成している。ジョーがテナー・サックスとタロガトーを頻繁に持ち替えて、さまざまな打楽器を交える。「ゴングと軽いパーカッションの音だけだ」とロヴァーノは言う。「ドラムのミハエルとのコミュニケーションはとてもいいものだ。スタジオでは、まるでひとつになったような気分だったよ!」とロヴァーノは語る。

ファースト・アルバム『Arctic Riff』以来、精力的にツアーをこなしてきたカルテットにとって、スタジオで再び火花を散らすのは難しいことではなかった。「ジョーとは最初から意気投合していたんだ。それは自然なことだった。彼は、その瞬間に飛び込んで、聴いたものは何でも一緒に演奏するタイプのミュージシャンだ。何年にもわたって一緒にツアーをすることで、ステージの上でも外でも、このつながりはさらに強くなった。彼の気さくさと自発性によって、真の音楽的対話が実現したのだ」とトリオはコメントしている。

ジョーはもともと、ハンブルクのエルプフィルハーモニーで開催された2023年のECM祝賀会のために、デイヴ・ホランド、アヌアル・ブラヘム、ラルフ・タウナー、ノーマ・ウィンストンら大物アーティストとともにマンフレート・アイヒャーの80歳の誕生日を祝うタイトル曲「Homage」を作曲した。そこでロヴァーノは、アヴィシャイ・コーエン、ティグラン・ハマシアン、ナシート・ウェイツとのカルテットでこの曲を演奏した。「この作品は、マンフレートとレーベルの歴史に捧げられたものだ。僕はECMの録音を聴いて育ったんだ。ECMは僕が一緒に演奏したいと思った猫たちだったし、僕に多くの方向性を与えてくれた音楽だった。ロヴァーノは楽譜をまとめる際、「音符は一切使わず、一連の出来事の中で書かれた感情だけを使った」という。厳密な調性ではなく、ロヴァーノとマルチンのトリオは曲を通して異なるキーの間を行き来し、その過程でパルスとリズムを交互に変化させ、ロヴァーノが指揮者であり作曲家であるガンサー・シュラー、ひいてはジミー・ジュフリーやジョージ・ラッセルの音楽と深いつながりがあることを明らかにしている。

ボシレフスキ・トリオの仲間たちがロヴァーノの特異な思索に理想的にマッチしていることを証明する即興のミニチュアがプログラムを完成させ、このグループの完璧な相性は『オマージュ』でこれまで以上に明らかになっている。ニュージャージー州のヴァン・ゲルダー・スタジオで録音され、ミュンヘンのバイエルン音楽スタジオでミックスされたこのアルバムは、マンフレート・アイヒャーがプロデュースした。  

昨年はそれぞれ数年ぶりの来日公演を果たしたジョー・ロヴァーノとマルチン・ボシレフスキ・トリオだが、ぜひ今年は本作品を引っ提げてカルテットでの来日公演を期待したい。

     

■作品情報

ジョー・ロヴァーノ+マルチン・ボシレフスキ・トリオ
『オマージュ』

UCCE-1215
SHM-CD 5月2日(金)発売

【収録曲】
1.ラヴ・イン・ザ・ガーデン
2.ゴールデン・ホーン
3.オマージュ 
4.ギヴィング・サンクス
5.ディス・サイド – キャットヴィル
6.プロジェクション