ソロ・ピアノでのライヴ演奏の可能性、概念をも大きく変え、数々のソロ・ライヴ名盤を残してきたキース・ジャレットが今年5月8日に80歳の誕生日を迎えることを記念し、1978年に10枚組のLPとして発売され、「史上空前の超大作」として話題になった『サンベア・コンサート』が、初めてSACD~SHM仕様シングル・レイヤーで発売されることが決定した。
『サンベア・コンサート』は、キース・ジャレットが1976年にプロデューサーのマンフレート・アイヒャーを伴って来日し行われたソロ・コンサート全8公演のうちの京都(京都会館ホール)、大阪(サンケイホール)、名古屋(愛知文化講堂)、東京(中野サンプラザ)、札幌(厚生年金ホール)の5公演を完全記録したもので、ジャズ・レコーディングの歴史の中でも画期的な成果と言える作品で、ダウン・ビート誌はオリジナル・リリースの際にジャレットの即興演奏に関し次のように表現している。
「巨人の発明は、圧倒的に親密で、リスナーを引き込み、虜にすることができる。ジャレットは再び彼の創造的な意識の洞窟に足を踏み入れ、驚くほどの力、威厳、そして暖かさを持った音楽をもたらした」
「東京 アンコール」
今回初めてSACD~SHM仕様でリリースされる商品は、2017年にECMがオリジナル・マスターから制作したDSDマスターを採用、新規ライナーノーツを掲載している。
今年は、キース・ジャレットの生誕80周年に加え、今なお人々の心を打ち、ジャズ・ピアノ史上最大のロングセラー、『ケルン・コンサート』のリリースから50周年、改めてキースのピアノ・ソロの魅力を感じる機会となりそうだ。
<キース・ジャレット>
キース・ジャレットのECMディスコグラフィーは、ソロ・インプロヴィゼーション、デュエット、トリオ、カルテット、オリジナル・コンポジション、マルチ・インストゥルメンタルでのベンチャー、クラシック・レパートリーの傑作、グレート・アメリカン・ソングブックの幅広い探求などを網羅している。このようにして、数十年の間に膨大で広く評価された作品群が生まれ、その多様性は録音音楽の世界では全くユニークなものとなっている。
ジャレットのECMとの関わりは、1971年11月、プロデューサーのマンフレート・アイヒャーとの間で、その後大きな影響力を持つことになるソロ・ピアノ・アルバム『フェイシング・ユー』 で初めてコラボレーションしたことに始まる。即興演奏家としてのキース・ジャレットの重要性はもはや強調する必要はないが、ニューヨーク・タイムズ紙のジョン・ロックウェルが言うように、彼は「第一級のクラシック・ピアニスト」でもある。”1980年代後半から、ジャレットは高い評価を得ている一連のクラシック録音をリリースすることでレパートリーを広げ、また多面的な作曲家として自作の作品も発表している。
ヘッダー画像:Photo © Tadayuki Naitoh